祭頭祭は、元々は66郷(現在は52郷)の氏子地域が南北に分れ、左方・右方それぞれから当番地区(大字)が1地区ずつ選出され、2つの地区が選ばれて祭典に奉仕いたします。前年の「春季祭」の神占により当番が決定し、観衆に宣言されるところから当番地区の一年が始まります。当番についた地区は一年間地元の鎮守様の社に鹿島神宮のご分霊をお迎えして祀り、祭事事務所の設立、大豊竹の選定、大総督(または新発意ともよばれる)の結納、祭頭囃の練習など、祭頭祭を巡る様々な準備を一年がかりで行います。3月9日の祭頭祭当日になると、大総督を始め祭事委員の役員たちは大勢の参列者が見守る中、神職とともに昇殿し祭儀に参列いたします。鹿島神宮の大前に五穀の豊穣と国家・皇室の弥栄が祈られ、大総督と祭事委員長は当番地区を代表して玉串を捧げ鹿島の神に祈りを捧げます。地元では春を呼び込む鹿島立ちの神事と考えられています。祭頭祭は時代によってそれぞれの付会がなされており、神仏習合の江戸時代には新発意(出立)から常楽(彼岸)に至る「常楽会」とされ、明治になってからは五穀豊穣を祈る「祈年祭」とされ、昭和初期には当時の富国強兵の流れを受けて「防人の祭」とされました。いずれも「新たな出立」を意味しており、この祭りが日出づる東に位置し「出立・始まり」を司る鹿島の大神への古代信仰「鹿島立ち」を淵源としていることが伺えます。
本年令和6年3月9日(土)に、鹿島神宮において当番字 左方大頭下幡木郷により祭頭祭が奉仕されます。
祭頭祭(10:00)
日時:3月9日(土) 10:00~ 場所:鹿島神宮本宮前
「鹿島の祭頭祭」(祭頭囃保存会)では、「出陣の神事」と記載があるように、三つの神事で構成(祭頭祭・祭頭囃し・春季祭)されている祭頭祭の冒頭を飾る神事です。祭典では、当番郷の下幡木郷の大総督(新発意)をはじめとした祭事委員会関係者と鹿島神宮総代、宮中氏子委員、宮中祭事区長、崇敬者の参列の下、斎行致します。祭頭祭は、五穀豊穣を祈る春祭と考えられています。また日の出を最初に迎える東の端にある神社であり、鹿島立ちの御神徳のある鹿島の大神に地域の豊作を祈る神事という意味だけではなく、豊かな春を呼び日本全国の豊作と繁栄を祈る性格を持つ神事でもあります。
祭頭囃し出陣式(12:00)
日時:3月9日(土) 12:00~ 場所:鹿島神宮参拝者第一駐車場
祭頭囃し(12:30)
日時:3月9日(土) 12:30~ 場所:宮中地区
各郷の大総督(新発意)を中心に、各郷の囃人たちがきらびやかな衣装(綺羅)をまとい、樫の棒を打ち鳴らし、宮中地区を囃す神事です。祭頭祭が「出陣の神事」であるのに対し、この祭頭囃しは「凱旋の神事」とたとえられます。今回の下幡木郷の囃し人の数は、15組357名。
春季祭(18:00)
日時:3月9日(土) 18:00~ 場所:鹿島神宮本宮
本年の当番 字祭事関係者をはじめ、鹿島神宮総代、宮中祭事区長、崇敬者および明年当番候補字区長(南郷より二字、北郷より二字)が参列します。春季祭では祭典の中で、明年の当番字を決める卜定(神占の儀:占いによって字を決める神事)が取り行われます。卜定が終了すると差符状が神職の大音声によって宣読されます。また祭典中に、万灯と役目を終えた大豊竹をささらに割る勇壮な神事も行われます。