御手洗池口鳥居再建

令和2年8月10日、鹿島神宮では東日本大震災で倒壊した御手洗池口鳥居の竣工の運びとなりました。
つきましては、氏子崇敬者ならびに“QRコードからアクセスされた方々”に詳細をおしらせするために特集ページを作成いたしました。

現在地

QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。

東日本大震災から復興までの道のり

倒壊前の鳥居

御手洗池があるこの場所(※1)は、かつては鹿島神宮参拝の起点として考えられ、平成16年に御影石製の鳥居が当地の崇敬者より奉納されました。

かつての鳥居
平成16年1月に竣工したかつての鳥居。

(※1)鎌倉時代以前は内海(香取の海)の水位が高く、御手洗池の近くまで入り江が深く入り込んでいたことが伝わります。


倒壊した鳥居

平成23年3月11日、東日本大震災の激しい揺れにより旧鳥居は倒壊してしまいました。しかし幸い近くに参拝者はなく、人身や周辺の施設や家屋への被害はありませんでした。さらに30分後の余震で表参道の大鳥居が倒れ、氏子崇敬者からは「表と裏の鳥居が倒れ、災禍が境内を侵すことを防いだのだ」と語り伝えられています。

倒壊した御手洗口鳥居1

倒壊した御手洗口鳥居2
平成23年3月11日 地震により倒壊した鳥居の様子

 

撤去前の清祓式
4月5日 清祓が行われ業者により残材撤去

 


建設準備

令和元年、かねてより鹿島神宮をご崇敬される小川秀治様(パスロジ株式会社代表取締役社長)より会社設立20周年の記念事業として御手洗口鳥居の建設(奉納)のお話を寄せてくださいました。

小川様の日頃からの崇敬の念に加え、インターネット上での認証セキュリティ事業を行う企業体としてのパスロジ㈱にとっても「武甕槌大神は雷神であり、悪神や悪疫から守る力を持つ(※2)現代のサイバーセキュリティにも通じる神様だと解釈し、我々の行う事業にも遠からぬ縁があり、そのご神縁にあやかりたい。」とのお考えを知り、鹿島神宮内での協議を経てこの度のお申し出を謹んで拝受することとなりました。

その後は小川様を始めご関係の皆様と鳥居建設の工事日程について、仕様や材質について度重なる打ち合わせを行いました。 
 
(※2)御祭神の佩刀-韴霊剣により悪疫を祓い、神武天皇の窮地をお救いした記事が日本神話に描かれます。
―参考ページ
武甕槌大神と韴霊剣

地鎮祭(5月27日)

令和2年5月27日、同地におきまして鳥居再建工事の地鎮祭が行われました。晴れわたる天候のなか奉納者の小川様をはじめ工事関係者のご参列を仰ぎ厳粛に祭典が執り行われ、工事の安全が祈念されました。旧石鳥居の沓石には砂が盛られ、式次第が地鎮の儀に進むと奉納者代表として小川様ご夫妻による鍬入れが行われました。

祭儀の中で砂山に埋められた「鎮物(しずめもの)」は、のちに行われた基礎工事において地中に埋められました。

地鎮祭1

 

 

 

 

地鎮祭鍬入れ

 

 

 

 

2つの御鎮物

 

富田製作所建築確認(6月9日)

古河市の㈱富田製作所で新鳥居の部材加工に立会い、作業工程を確認いたしました。

富田製作所部材確認

 

 

 

 

 

基礎工事(6月18日)

㈱日進建興により基礎工事が行われました。鳥居の2本の柱の基礎の下には「鎮物(しずめもの)」が埋納されました。

基礎工事

 

 

 

 

鳥居仮組立検査(7月11日)

河内町にある㈱日進建興の作業所で仮組立検査に立ち会いました。

日新建興仮組立

 

 

 

 

 

鳥居部材輸送(7月16日)

事前に鹿嶋市の大川運輸㈱に伺い輸送車両のお祓いをいたしました。
当日には鳥居の用材が日進建興の作業所から搬出され、御手洗池口の建設現場に搬入されました。

鳥居搬出

 

 

 


搬送風景
 

 

 

御手洗池前に到着

 

 

 

 


鳥居建方(7月21日)

大型クレーンが建設地に入り、事前に地上で鳥居の部材が組み上げが行われました。
建方当日の21日には心配された雨も降ることなく、クレーンにより新鳥居が吊り上げられるとゆっくりと立ち上がり、ついに鳥居の全容が姿を現しました。

建方1

建方2

建方3

建方4

 

 

 

 

こののち鳥居には専門的な調整作業と塗装が施されました。さらには沓石(亀腹石)の設置ならびに石畳の敷設工事が行われました。

 


竣工祭(8月10日)

東日本大震災より9年と5か月の時を経てついに鹿島神宮の御手洗池口の鳥居が竣工となりました。

 

 

新鳥居の概要

■鳥居データ
 〇様 式 鹿島鳥居(※3)
 〇材 質 耐候性圧延鋼板
 〇寸 法 高 さ 約  8.0メートル
      笠木幅 約11.3メートル
      柱 間 約  6.3メートル
 〇総重量 6.3トン
 〇特 徴 鋼板製ながら木造鳥居の様式にならい部材元末の直径差を再現。
      奉納者発案により銘板および沓石(亀腹石)にQRコードを設置。 

(※3)鹿島鳥居様式の特徴はいくつかありますが、代表的なものとして以下が挙げられます。
「円形の柱の上に円形の笠木が載る」

「貫だけ角材で貫端が柱の外へ突出する」
「元側が正面向かって左側/末側を右側に据える」

■奉納者  パスロジ株式会社 代表取締役 小川秀治 様

■施 工  株式会社日建興

■協力会社 笹本石材株式会社
      大川運輸株式会社
      株式会社宏洋
      城之内工業株式会社
      株式会社富田製作所
      株式会社神久美建

 

新鳥居に関するQ&A

Q.鳥居の大きさはどれぐらいですか?

A.細かな寸法は上記の「鳥居データ」をご確認ください。なお、北浦の西の一の鳥居の約半分、二の鳥居より一回り(約20%)小さいサイズです。


Q.材料は何ですか?

A.耐候性鋼板を加工しています。柱等の主要部分は地元の日本製鉄製、見えないベース部分等にJFE製と神戸製鋼製で大手3社の鉄を使用しています。完全に純国産材使用です。


Q.耐久性はどれくらいですか?

A.半永久(百年単位)の耐久性があります。現在の技術で出来る最上級の加工ですが、まだ「何年もつ」という記録がありません。


Q.どこの会社が製造したのですか?

A.県内の鉄工会社、稲敷郡河内町の日進建興が元請で、設計・製造・輸送・基礎・塗装・建方・石工事など全て茨城県内の業者、工人にて力を併せ製造した純茨城県産です。またこの会社は過去に箱根の国道をまたぐ大鳥居、富士浅間神社大鳥居等の実績があります。


Q.誰が奉納してくれたのですか?

A.東京のIT企業 パスロジ株式会社です。
詳しくはパスロジ株式会社公式ウェブサイトと鳥居の銘板にあるQRコードに本件の紹介記事が掲載されております。こちらも是非ご参照ください。

パスロジ株式会社公式ウェブサイト 鹿島神宮 御手洗池口鳥居について

 

おわりに

この度の御手洗池口鳥居のご奉納となりましたこと衷心より厚く御礼申し上げます。

鳥居の再建にあたりましてはパスロジ株式会社 代表取締役小川秀治様より鳥居奉納の赤誠を賜りましたことで復興計画が大きく前進し、本年の“令和2年勅祭記念”ならびに“東日本大震災復興”という二重の意味を寄せて建立するに至りました。

そして本日ここに新鳥居の竣工と相成り、鹿島神宮としても一つの区切りを迎えることができました。小川様をはじめご関係の皆様には大神様とのご神縁を一層強くされ、更なるご加護があることと信じる次第でございます。

また、鹿島神宮では東日本大震災による様々な被害には氏子崇敬者の皆様より心温まる励ましの言葉や物心両面のご芳志を賜りました。この度の御手洗池口鳥居の竣工をもって復興事業の完遂となりますことを報告させていただき、これまでのお力添えに深く感謝を申し上げます。

令和2年8月10日 鹿島神宮